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臨床経験
Membranous lipodystrophyの1例
著者: 荻野幹夫1 蜂須賀彬夫1 古谷誠1 浅井春雄1 村瀬孝雄1 小坂正1 小杉雅弘1
所属機関: 1国立病院医療センター整形外科
ページ範囲:P.711 - P.713
文献購入ページに移動1971年那須等によつて第1例が報告されたmembranous lipodystrophyは,他に類をみない点の多い疾患である.既に数十例の報告がある1,5,8)と思われ,疾患単位として確立されたものと考えられるが,病理機序には不明な点が多い.現在までの知見を要約すれば,本症には遺伝性があり,成人期以後に発見され,初期症状は多発性ほぼ対称性にみられる骨病変と病的骨折で,緩徐に進行し,末期には中枢神経症状を来たして死亡する.病理組織学的には,骨髄を含む全身の脂肪組織に膜様構造物が出現し,正常組織を置換し,中枢神経系には,白質のsudanophilic変性がみられる.臨床検査上の異常はなく,根治的治療法は未だない.本文の目的は,本症の姉妹例を報告し,検討を加える事である.
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