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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科14巻8号

1979年08月発行

文献概要

臨床経験

ハリントン手術後に合併した上腸間膜動脈症候群の2例

著者: 熊野潔1 杉山正伸2 中村信也2 土田博和2 樋上駿3

所属機関: 1東京大学医学部整形外科学教室 2虎の門病院整形外科 3虎の門病院外科

ページ範囲:P.820 - P.827

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はじめに
 上腸間膜動脈症候群は,十二指腸横走部が上腸間膜動脈(Superior mesenteric artery)または時にその分枝によつて前方より圧迫され,後部の脊柱または大動脈とにはさまれ完全または不完全に閉塞されることによつて起こる疾患3)であり,脊柱の前彎が強く,内臓下垂症を伴う無力体型の女性に多くみられることは良く知られている.1861年のvon Rokitansky16)の報告が最初のものとされているが,以来数多くの報告がある.腹部外科的には,この疾患は多くの場合慢性の十二指腸拡張症の一つとして取扱われている5).1950年Dorph7)は,大腿骨骨折のためのhip spicaの装着後に発症した.急性で死の帰転をとつた本疾患を報告し,Cast Syndromeと名づけた.以来整形外科的治療の合併症として注目されてきたが,近年側彎症手術の発達とともに、重大な術後合併症の1つとして報告されるようになつてきた5,6,10).その頻度は決して多くはないが,正しい診断と適切な処置を逸すると重篤に陥ることが強調されている.本邦での本疾患の報告は少ない12).われわれは最近2例の本疾患をハリントン手術後合併症として経験したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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