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論述
慢性関節リウマチの膝関節造影像 第3報—膝関節造影像からみた滑膜切除術の適応について
著者: 横井秋夫1 冨士川恭輔1 田中義則1 戸松泰介1 伊勢亀冨士朗1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.858 - P.866
文献購入ページに移動慢性関節リウマチ(以下RA)の病因がなお不明である今日,その根治療法はないので,症状の変遷に対応する対症療法の適否が論議の的になつている.われわれが日常行つているRAに対する膝関節滑膜切除術は,その対症療法の一つであり,病勢をとどめるということに主眼がある.滑膜切除術は古くは1800年代後半のSchüller,Müller,Volkmannらの報告をもつて嚆矢とするが,RAに対しては1923年Swett19)やJones7)の報告に始まる.その後の報告は枚挙に遑がないが,それらのRA滑膜切除術の成績は,極めて良好なものから逆に全く悲観的なものまで様々である.1960年頃から,関節破壊の予防という見地から滑膜切除術が行われるようになり,とくに早期滑膜切除術が脚光を浴びている14).この早期滑膜切除術の適応について色々な基準がうち出されてはいるものの,結局は経験的な判断によつて滑膜切除を行つていることが多い.われわれはRA膝関節に対して関節造影法を応用し,滑膜のみならず関節軟骨,半月等の病態とその推移についても報告を重ねてきた.これらの膝関節構成体の造影所見はRAの膝関節のclinical courseをよく描出し,早期滑膜切除術の時期適応を決定する重要な情報を提供してくれる.
今回は,RA膝関節造影像からみた滑膜切除術の時期適応と手術法について報告し,大方の参考に資したい.
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