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論述
小指外転筋移行による母指対立再建術の経験—母指形成不全への応用
著者: 荻野利彦1 石井清一1 薄井正道1 村松郁夫1 福田公孝1 三浪三千男2 中下健2
所属機関: 1北海道大学医学部整形外科学教室 2北海道整形外科記念病院
ページ範囲:P.867 - P.873
文献購入ページに移動母指形成不全には種々の程度のものが存在し,その程度により治療法が異なる6,7).Blauth1)は母指形成不全を障害の程度により5度に分類している.Blauth分類4,5度のぶらぶら母指と完全欠損には母指化術が適応になる.また,母指球筋が欠損する2度のものに対しては対立運動の再建が必要である.各種の母指対立再建法の中で,Huber4)あるいはLittler5)が報告した小指外転筋移行による方法は,対立運動の再建と同時に母指球のふくらみが形成できる点が特徴である.
著者らは,母指形成不全の5例に対して小指外転筋移行による母指対立再建術を行つてきた.その際,原法に改良を加えることによつて満足すべき結果を得ている.原法の手術術式の問題点と著者らが行つた改良点に検討を加えて報告する.同時に,I-II指間の形成あるいは母指MP関節の安定性獲得手術を合併していくことの重要性を強調し,その術式にも検討を加える.
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