文献詳細
シンポジウム 最近の抗リウマチ剤の動向
文献概要
1890年,Kochによつて金塩が試験管内で結核菌の発育を阻止することが見出されて以来,金は結核や梅毒に対して試用されてきた.当時リウマチや紅斑性狼瘡も結核に起因する疾患と考えられていたため,金はしだいにこのような疾患にも用いられるようになつた,欧州において最初に慢性関節リウマチ(RA)に金を使用してその効果を報告したのはForestier1)である.その報告に刺激されて,1936年には米国でも慢性関節リウマチの金療法の報告2)がみられるようになつた.本邦においては1958年の大島ら3)の報告が最初である.金は現在もほとんど慢性関節リウマチにかぎつて使用されているが,その臨床効果はほぼ確立されたものとなつている.近年測定技術の進歩に伴い,その血中膿度・吸収・排泄などの生体内金代謝動態がしだいに明らかにされつつあるが,抗炎症剤としての金の作用機序は未だ充分に解明されていない.
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