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臨床経験
関節破壊の著しい膝関節に対する慶大式人工関節置換術の経験
著者: 斉藤聖二1 伊勢亀冨士朗1 冨士川恭輔1 戸松泰介1 竹田毅1 磯田功司1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.988 - P.992
文献購入ページに移動最近人工膝関節は工学的背景の進歩によつて,多種多様なデザインが開発されているが,それは,hinge typeとhingeless typeに大別される.Hingeless typeは,支持性の面で,hinge typeに劣ることは当然である.一般にhingeless typeのsurface replacement型は,その支持性を軟部組織に依存するために,大腿骨や脛骨関節面に著しい破壊のあるものや,高度の内外反変形または不安定性の著しい関節等に対しては,適応がないとされている.
我々は,従来より進めてきた,biomechanicsの知見を基に,慶大式人工膝関節を開発し,1972年以来臨床に応用してきた.慶大式人工膝関節は,hingelessのsurface replacement型ではあるが,関節自身に,運動の誘導機構と,異常運動に対する制御機構を備えており,一般のsurface型人工膝関節に比べて,その適応範囲は広いものと考える.最近,我々は高度の関節破壊,外反変形および不安定性のために,歩行困難であつたR. A.症例の両膝関節に慶大式人工膝関節置換術を行い,現在までの所,満足すべき結果を得たので報告する.
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