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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科15巻11号

1980年11月発行

文献概要

論述

骨巨細胞腫組織中の宿主由来細胞について

著者: 笠原勝幸1 山室隆夫2 濱島義博3

所属機関: 1天理よろづ相談所病院整形外科 2京都大学医学部整形外科学教室 3京都大学医学部第2病理学教室

ページ範囲:P.1016 - P.1023

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まえがき
 言い古されて来た言葉であるが,骨巨細胞腫ほど多くの論争を惹き起こし続けてきた疾患は少ない.とりわけ,骨巨細胞腫組織中の巨細胞の起源については,それが破骨細胞の腫瘍化したものだとする英国学派と,腫瘍細胞と直接の関係を持たない非特異的な巨細胞だとする米国学派に分かれて論争を続けてきた1).一方,十数年前までは,「腫瘍組織を構成するのは同一の起源を持つ腫瘍細胞であって,起源の異なる二種類の細胞が腫瘍組織を構成するのは非常に不自然である.」と考えるのが常識であり,これが英国学派の考え方の一つの基盤でもあつた.
 しかし,最近の免疫学の進歩は,腫瘍に対する宿主反応の詳細を明らかにし,腫瘍細胞は自己増殖を続ける一方で,血行由来のリンパ球やマクロファージの攻撃を受け,破壊され続けていることがわかった.つまり,腫瘍組織は分裂,増殖する腫瘍細胞と,血液中から侵入してきた宿主細胞とが,動的にバランスを保って構成していると考えられるようになつてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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