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論述
悪性軟部腫瘍の化学療法
著者: 後藤守1 山脇慎也1 姥山勇二1
所属機関: 1国立札幌病院,北海道がんセンター整形外科
ページ範囲:P.1035 - P.1040
文献購入ページに移動悪性軟部腫瘍の治療成績を向上させるためには的確な病理組織診断に基づいた一貫した治療が専門医チームによつて行われるのが望ましいことはいうまでもない.手術,放射線,化学療法の各分野で確実な進歩がみられるが,化学療法についてはとくにアドリアマイシン(ADM)登場以前のものは治療の主体となる薬剤に乏しく,それ以後も一定の方式が確立されているとはいいがたい.症例数が少ないことは臨床研究上の大きな壁であり,性急な結論はさけるべきであるが,悪性軟部腫瘍に対する化学療法の今日的意義については明らかにしておく必要がある.今回我々は過去9年5ヵ月間,当科に入院治療した悪性軟部腫瘍患者のうち病理組織診のほぼ確定した80症例について,昭和55年4月の時点で治療成績とくに化学療法の効果判定を行つたので,その概要を述べ,今後の治療成績の向上に資したいと考える.
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