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論述
膝関節のanterolateral rotatory instability(ALRI)の病態と治療法について
著者: 史根生1 那須範満1 福島文雄1 川崎崇雄1 広瀬一史1 小野啓郎1
所属機関: 1大阪大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1123 - P.1129
文献購入ページに移動膝関節の靱帯や,関節包の損傷によるRotatory,InstabilityはSlocumのAnteromedical Rotatory Instability(以下AMRIと略す)に関する報告15)以来,とりわけ本邦では,AMRIにのみ意を注いできた感がある.しかしながら,疼痛および怖さ("Apprehension")を伴い,Giving wayを生じるAnterolaterl Rotatory Instability(以下ALRIと略す)も,またまれなものではない.1971年のGalway4)の報告以来,その病態や,診断法は徐々に明らかにされつつあり,またその手術法も,多数,発表されている.
このALRIという呼称は,主にHughston7)により,提唱されているもので,Galwayらは,"Pivot shift syndrome5)"と呼んでおり,また中嶋は,「前十字靱帯機能不全症候群13)」("Anterior cruciate ligament insufficiency syndrome")と呼んでいる.一方,Kennedyは,最近の著書9)の中で,"Anterolateral Rotatory Instability approaching extension"という表現を用いている.これらはいずれも同一の病態を指すものと考えられ,こういつた呼称の混乱は,膝関節の靱帯性不安定性(Ligamentous Instability)の分類の確立と共に,整理される必要があろう.
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