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論述
対立可能な三指節母指—末節骨の多指変化について
著者: 荻野利彦1 石井清一1 薄井正道1 福田公孝1
所属機関: 1北海道大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1172 - P.1175
文献購入ページに移動三指節母指は,対立運動が可能なものと不可能なものに二大別される3).後者は,母指球筋の形成障害を高率に合併し,母指形成不全の一型と考えられている9).一方,対立可能な三指節母指は,しばしば母指多指症や裂手症を伴うところから,これらの奇形との関連性も論じられているが,推測の域を出ていない1,6,7,10).とくにHaas2)は1939年に,単独に発生した三指節母指の末節骨に重複変化を観察し,これを"かものはしのくちばし"と形容して,多指症との関連性を示唆したが,広く注目されるまでにはいたつていない.著者らは今回,対立運動の可能な三指節母指の単独発生例の末節骨のX線像を観察し,重複変化が高率に発生していることを確認した.三指節母指の成因を考えるうえで興味ある所見と思われるので報告する.
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