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特集 脊椎腫瘍(第8回脊椎外科研究会より)
Histiocytosis X—とくに脊椎の変化を中心として
著者: 大岩俊久1 村上宝久1 熊谷進1 井上慶三1 小出亮2
所属機関: 1国立小児病院整形外科 2国立小児病院血液科
ページ範囲:P.259 - P.265
文献購入ページに移動Histiocytosis Xは主として小児期にみられる疾患であり,そこに特殊性があるといえる.すなわち,成長期にある患児は回復能力が大きい反面,診断・治療のために徒らに大きな侵襲を加えれば,その影響は成人と比べて多大となり,決して得策ではない.幸い,一部のものを除いて一般に全身的予後は良好であり,また骨病変の予後も同様に良いと考えられており,なおさら過剰な検査・治療に陥らないようにしなければならない.
一方,脊椎は本疾患の好発部位の1つであり,その報告例も少なくない.特に1954年Compereら1)が,Calve扁平椎様X線像を呈した4症例が,すべて本疾患によるものであることを組織学的に確認してから,histiocytosisXにより特徴的な扁平椎が惹起されることが,広く認識されるようになつた.しかしその病態に関してはいまだ不明の点が多く,また治療についても種々なる方法が経験的におこなわれているのが現状である.
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