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特集 脊椎腫瘍(第8回脊椎外科研究会より)
転移性脊椎腫瘍の治療とその成績について
著者: 川口智義1 荒井孝和1 和田成仁1 金田浩一2 杉山丈夫2 古屋光太郎3 網野勝久3 山浦伊裟吉3 奥山武雄4
所属機関: 1癌研究会附属病院整形外科 2癌研究会附属病院放射線科 3東京医科歯科大学医学部整形外科学教室 4東京医科歯科大学医学部放射線医学教室
ページ範囲:P.301 - P.313
文献購入ページに移動転移性骨腫瘍は,全国骨腫瘍患者登録一覧表(昭和39年〜昭和52年)においても6076例32)の登録がなされており登録骨腫瘍中最も頻度が高く全登録骨腫瘍の約30%にあたる.しかし癌腫の骨転移例の大部分は,原発巣の治療を行つている外科系各科にて扱われていることが多く登録されたこれら症例はその一部に過ぎない.そのため転移性骨腫瘍の実数ははるかに多いと考えられ,その実態の把握は難しい.中でも脊椎骨は転移性骨腫瘍の最も好発する部位として知られる.それだけに整形外科日常治療に際しては,しばしば治療法の適切な選択が要求されている.しかし,これら治療法は根治性に乏しいこともあり,これまで我々臨床家の興味はむしろ原発性骨腫瘍に向けられていたとの感が強い.これまでの治療法について反省してみると,全くの対症療法に終始したり,手術後数ヵ月で死亡し,手術適応を間違つたと反省させられる例が認められる.これらの反省より本稿では,これまで主として癌研および東京医科歯科大学で扱つた転移性脊椎腫瘍中全経過を通じ臨床データと各種治療法の効果や予後の判明している症例を選び検討し転移性脊椎腫瘍の治療方針なるものに考察を加える.
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