臨床整形外科15巻3号

1980年03月発行

特集 脊椎腫瘍（第8回脊椎外科研究会より） 総括

原発性悪性脊椎腫瘍の部

著者： 竹光義治¹

所属機関： ¹旭川医科大学医学部整形外科学教室

ページ範囲：P.333 - P.335

　このsessionでは原発性悪性腫瘍のうち，血管内皮腫，軟骨肉腫，骨肉腫，骨芽細胞腫，alveolar soft part sarcoma，細網細胞肉腫，骨髄腫，その他（不明2）など計8題の発表と討議が行われた．主たる問題点は診断と手術適応であつたが，以下その要約をのべる．
　V-1．安福氏らの症例（25歳，女）はC₃椎体を破壊し，硬膜外腔をC₂-C₄まで増殖して椎骨動脈を包理した腫瘍で，C₃椎体を含めほぼ全摘された．組織学的には血管内皮腫で比較的low malignancyであつたこと，手術が成功したことから，経過は良好である旨報告された．これに対し，古屋氏（東医歯大）は，組織像は正常のendothel，周辺に結節状に腫瘍細胞の増殖がありhaemangiopericytomaとした方がよいのでは？と異議があつた．易出血性で部位的にも困難な手術が成功したことは誠に幸であつた．