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論述
大阪市身体障害者更生相談所における切断および義肢処方の実態
著者: 大久保衞1 島津晃1 市川宣恭1 星千富1 川田嘉二2 越川亮2 木下孟3
所属機関: 1大阪市立大学医学部整形外科学教室 2国立大阪病院整形外科 3南大阪病院整形外科
ページ範囲:P.370 - P.377
文献購入ページに移動近年,各方面で福祉政策の充実がさけばれるなかで,切断者に対する福祉においても様々な問題点が指摘され,検討が加えられてきた.日本の現状は,欧米諸国と比較するまでもなく,当事者である切断者はもとより,医師やその他の関係者にとつて,必ずしも満足すべきものではない.特にリハビリテーション施設の不足や,煩雑な義肢支給体系,義肢・装具の部品の規格化や品質管理,あるいは製作技術者の技術水準や地域格差の問題など,多くの課題をかかえている.しかもこれまで,それらを検討する上で基礎資料となるべき切断者あるいは義肢に関する実態調査は,一部の地域をのぞき,必ずしも十分に行われてきたとはいえない.大阪市においても,残念ながらこの種の調査はほとんど行われていない.それは制度的に,切断者や義肢処方に関する情報が,統一された機関によつて管理されることがなかつたためと考えられる.
大阪市においては,昭和31年(1956年)に身体障害者更生相談所が設置され,それ以後,身体障害者手帳(以下手帳と略す)の交付を希望して来所した切断者,および身体障害者福祉法(以下身障法と略す)により処方・支給された義肢に関する記録については,同所において管理されるようになつた.
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