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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科15巻5号

1980年05月発行

文献概要

シンポジウム 先天股脱の予防

先天股脱と斜頸姿勢—特に予防の見地から

著者: 和田昇1 村田豊2 久下章2 井形高明2

所属機関: 1徳島県立中央病院整形外科 2徳島大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.473 - P.478

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はじめに
 先天性股関節脱臼の新生児検診における見逃し例の報告は諸家によりまちまちである.そして,これら見逃し例の発生要因として二つの事が検討されてきた.一つには検診法そのものによる問題である.すなわち,検診の最も一般的な指標であるclick signの発現率がその手技や新生児の生後日数,状態などに左右され易いという点である.二つには見逃し例の判定の問題である.すなわち,臼蓋形成不全と亜脱臼を明確に区別したり,治療の要否を決定するのに難渋する場合が多く,実際上,これらのことが医師の経験にまかせられているという点である.また,Riemen-bugel法の普及やその適応の拡大なども要治療例を増加させてきたふしがあつた.
 この間,山室,石田らによつて新生児の下肢伸展位の危険性や自然肢位,自由運動育児の重要性が強調され,予防法が実践にうつされるにつれて,click signのみならず見逃し例の著しい減少が多々報告されるようになつており,上述した問題の大部分は解決されたかにみえる.我々もオムツや着衣など新生児の育児環境の改善や母親の予防に対する啓蒙を積極的に実行することによつて,諸家の報告とほぼ同様の好結果を経験している(第1図).しかしながら,いまだにみられる見逃し例を検討すると,ただ単に,click signの見逃しやオムツ等の問題のみで解決できない面もあるように思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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