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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科15巻6号

1980年06月発行

文献概要

論述

環椎破裂骨折について

著者: 小林慶二1 須田公之2

所属機関: 1都立大久保病院整形外科 2慶応義塾大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.548 - P.557

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 1920年,Jefferson7)が環椎骨折について自験例と過去の報告を総括して以来,すでに200例近くの症例が報告されている.この論文中で彼は頸椎に長軸方向の外力が加わつた時,頭部から伝達された外力と下位頸椎から伝達されたその反作用外力とが合力となつて環椎側塊を外側へ拡大する方向に働き,その結果,環椎後弓骨折が惹起されると推論している.この力学的解析は高く評価され,その後,前弓と後弓が骨折し側塊が外側へ転位する型の骨折がJefferson's fractureあるいはbursting fracture(破裂骨折)と呼ばれるようになつた.
 従来はこの破裂骨折も後弓単独骨折と同様に保存的に治療されていた.1970年,Spence et al. 14)はこの骨折で見られる環椎側塊の側方転位が環軸関節の安定性に最も関与している横靱帯の断裂を伴うことに注目し,屍体による実験から側塊の側方転位の程度によつて保存的療法と観血的療法のいずれかを選択する試みを行つている.彼の研究以後欧米でHan5),Zimmer19),O'Brien12),Moati11)ら,本邦で鈴木15)らによるその治療面に関する追試が相次いでなされている.しかしSpencc et al.の実験を裏付ける臨床報告は少なく,諸家によつて治療方法もまちまちで,いまだ確立されたものとはなつていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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