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論述
ステロイドホルモンの長期関節内および局所注入の副腎皮質機能に及ぼす影響について
著者: 三河義弘1 丹羽権平2
所属機関: 1倉敷中央病院整形外科 2丹羽整形外科医院
ページ範囲:P.580 - P.586
文献購入ページに移動整形外科領域においては,諸種炎症性疾患に対してステロイド剤(以下「ス」剤と略す)を使用する機会はきわめて多い.腱鞘炎に対しては腱鞘内に,関節周囲炎に対しては関節周囲局所に,関節症および浸出性関節炎には関節内に,粘液嚢炎には嚢内に,上腕上顆炎では局所に,神経炎,神経痛にはブロックとして,これら無腐性炎症の局在性炎症鎮静化のために使用している.「ス」剤としては,水溶性剤を使用することは少なく,できるだけ局所に局在してのlong actingな作用を求めるため,懸濁性剤を使用することが多い.この際,体液中に「ス」剤の使用全量が移行して全身作用を現すとは考えられず,内服剤や水溶性剤を全身的に使用する場合と異なつている.また使用間隔も,内科的に血中濃度の維持を問題とする場合と異なつて,局所の消炎を目的としているため,一定期間局所にとどまり,消炎作用を示せば事足りる整形外科疾患に対する使用では,その副作用の検討の視点も自ら異なり,その結果もまた異なるであろうことは推測できる.
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