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弾力線維の成熟と性ホルモンの影響
著者: 四方実彦1 山室隆夫1 竹田俊男2
所属機関: 1京都大学医学部整形外科学教室 2京都大学結核胸部疾患研究所・病理
ページ範囲:P.671 - P.680
文献購入ページに移動近年,結合組織(骨,靱帯,腱,血管,皮膚,その他)を構成する主な線維性成分である膠原線維(collagen),弾力線維(elastin)に関する生化学的,形態学的な研究の進歩は著しいものがある,結合織に影響を与えるものには,外部からの機械的刺激,加齢,ホルモン,外傷,炎症などの病的状態,放射線や紫外線などの物理的要因などがある.またglucoseaminoglycan(GAG)含有量の違い,それによるmechanical propertyの変化,線維間,細胞間相互のinteraction,細胞基質あるいは線維成分の異常に基づく,先天的,後天的な種々の疾患が注目をあび,多方面からの研究がなされているがelastinに関しては生理的あるいは病的状態の基礎的な知見についてまだ不明な部分が多い.先天股脱の発症要因として,内分泌性の関節弛緩に関する研究の一部として浜ら12)はWistar系ラット股関節包靱帯のcollagenについて形態学的,生化学的に詳細な検索を行い報告した.一方われわれは同じくWistar系ラット股関節包靱帯を用い,生理的な弾力線維形成,弾力線維成熟過程,弾力線維含有量およびこれらにおよぼす各種内分泌環境の影響などについて実験的に研究した.特に従来の酢酸ウラニール,クエン酸鉛染色では無構造で染色されなかつたelastinをVIH-LC染色を用いることにより明瞭に染色しその微細構造を観察することができた.
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