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臨床経験
先天性環椎椎弓欠損症
著者: 崔洙公1 小林慶二2
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科学教室 2東京都立大久保病院整形外科
ページ範囲:P.795 - P.799
文献購入ページに移動頭頸移行部は脊椎奇形の好発部位であり,その中でも頭蓋底陥入症のように,中枢神経障害を遅発することがある奇形は広く注目されている.一方,先天性環椎椎弓欠損症は,それ自体では症状を呈さないとされており,頸部外傷や項部痛ないしは四肢の知覚運動障害などに際して,X線検査を受けて,たまたまその存在に気付かれるdevelopmental anomalyである.従来,余り関心が払われて来なかつたために,これがbenign variationとして認識されず,外傷の既往がある時には,環椎椎弓骨折と誤認され,いきおい過剰な検査や治療がなされやすい.
最近,我々は種々の環椎椎弓欠損症を5例経験したので,これらをふまえて本奇形の発生機序,X線像,臨床的意義に関して検討した.
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