文献詳細
論述
文献概要
骨セメントや高分子ポリエチレンの開発や生体力学の進歩は,蝶番型の人工膝関節にかわる,靱帯をできるだけ温存した状態で膝関節を再建する小型の人工関節を可能にした.それにともない適応も拡大され従来は滑膜切除とdébridementが行われていた破壊の軽度な膝関節にも人工関節置換術が行われるようになつた.しかし臨床経験が増すにつれ,小型の人工関節では膝蓋大腿関節部分の疼痛が除去できないこと,また術前にはなかつた疼痛がその部分に新たに出現すること等が明確となり,最近では膝蓋大腿関節の置換も同時に行えるようなデザインに変りつつある.またその際に十字靱帯を温存すべきか切除すべきかは意見の分れる所である.
さて慢性関節リウマチで関節破壊をともなう高度な膝屈曲変形に(第1図),人工関節置換術を行う際には,Wilsonの後方解離術12)を合せ行うべきかどうか,合せ行うとすれば置換術と同時に行つてよいものかどうか,あるいは後方の軟部組織の解離をまず行い,膝関節伸展の筋力を十分につけてから人工膝関節を行うべきかどうかは一つの大きな問題点である.当院では保存的治療で効果が上がらない高度な膝屈曲変形に対しては,まずWilsonの後力解離術を行い大腿四頭筋筋力の増強を行つて来た.しかし最近ではWilsonの後方解離術と人工膝関節置換術とが同時に行われている.
さて慢性関節リウマチで関節破壊をともなう高度な膝屈曲変形に(第1図),人工関節置換術を行う際には,Wilsonの後方解離術12)を合せ行うべきかどうか,合せ行うとすれば置換術と同時に行つてよいものかどうか,あるいは後方の軟部組織の解離をまず行い,膝関節伸展の筋力を十分につけてから人工膝関節を行うべきかどうかは一つの大きな問題点である.当院では保存的治療で効果が上がらない高度な膝屈曲変形に対しては,まずWilsonの後力解離術を行い大腿四頭筋筋力の増強を行つて来た.しかし最近ではWilsonの後方解離術と人工膝関節置換術とが同時に行われている.
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