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脊柱彎曲状態よりみた無分離脊椎すべり症
著者: 山本穰1 茂手木三男1 岡田征彦1 岡島行一1 古府照男1 横田昌幸1
所属機関: 1東邦大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.842 - P.850
文献購入ページに移動Junghanns5)が1930年椎間関節突起間部に分離のないすべり症の11症例を報告し,これをpseudo spondylolisthesisと呼称し,その成因は椎弓の水平化と椎間関節の前傾にあるとした.その後Friedl(1935年),Guntz(1937年)Macnab9)(1950年)等も同様の症例を報告し,これについてNewman12)は1963年椎弓角の増大はなく,椎間関節の著明な変性性変化を伴つていたところからdegenerative spondylolisthesisと呼称した.一方Rosenberg14)は椎間板変性に起因する椎体の異常動揺性が脊椎後方要素に変化をもたらす事をその成因にあげている.
本邦においては1929年神中4)の報告以来数多くの報告がみられ,本症の成因について小泉7),村上11)等は椎間板変性による椎体の異常動揺性をあげているが,我々は本症の剖検例,すべり発現過程の検討等により椎間板変性よりはむしろ椎弓,椎間関節等後方要素の変化を1次的な発症要因と考えている.
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