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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科15巻9号

1980年09月発行

文献概要

手術手技

上腕骨頸部骨折に対する螺線ピンの使用経験

著者: 矢野悟12 篁進12 小林郁雄12 柏木大治3

所属機関: 1北兵庫整形外科センター 2兵庫県のじぎく療育センター 3明和病院整形外科

ページ範囲:P.883 - P.891

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はじめに
 上腕骨頸部骨折は比較的まれで,若年者には少なく,50歳を境として年齢の増加とともに頻度が高くなると言われている.Neerによれば上腕骨頸部骨折の80%は転位が少なく,保存的治療法により早期より運動ができるため肩関節の拘縮を残すことなく骨癒合が得られ,予後は良好である.
 しかし骨折の転位が大きく保存的に整復ができなかつたり,骨折がunstableで整復位保持が困難な場合には観血的整復により内固定が必要となる.特に高齢者の場合では骨粗鬆症のため上腕骨骨頭の骨質,海綿質がもろくなつており,螺子,プレート,Rush pin,Zuggurtung法のような材質では整復位の保持が困難であり,必ずしも強固な固定を得ることができず,外固定を必要とすることが多い.従つて早期関節運動を行えず肩関節の拘縮を残すことが多い,私達はできるだけ小さな材質で,しかも大きな固定力を持つ螺線ピンを開発した.その特徴は骨折部を閉鎖的に(整復不能な場合は観血的に)整復し,螺線ピンを顆上部より髄腔を介し骨頭内に捻じ込み,骨折部を圧迫固定することにある.本法では術後より外固定の必要がなく早期に肩関節の運動を行うことができる.既に8例の上腕骨頸部骨折に本法を用い,すぐれた治療成績を修めたのでその術式,症例および力学的問題点を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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