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シンポジウム 胸椎部脊椎管狭窄症の病態と治療
胸椎部脊柱管狭管狭窄症の診断と脊髄誘発電位測定の応用について
著者: 黒川高秀1 津山直一1 田中弘美1 小林正之1 町田秀人1 中村耕三1 飯塚正1 星野雄一1
所属機関: 1東京大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.32 - P.42
文献購入ページに移動胸椎部において脊柱管を狭窄する主要な骨性因子(脊椎症・後縦靱帯骨化1)・黄色靱帯骨化2))はいずれも古い記載のある病態であり,これに起因する胸・腰髄障害も我国では手術例が以前から報告3,4)されていた.しかも実際には日常遭遇する頻度のかなり高い疾患6)でありながら,胸椎部脊柱管狭窄症はごく最近まで比較的稀と一般には考えられていた.かえりみると,これはこのような病態の存在が知られていなかつたからではなく,本症の診断に必要な基本事項に知識の不充分な点があつたためではないかと思われる.またそれにはそれ相当の理由があるはずであり,他の類似疾患にはない複雑さが基本事項にふくまれている可能性もありうる.
そこで本症の診断の基礎となる胸椎部脊柱管狭窄因子のX線学的特徴,神経学的診断の要点,脊髄障害高位判定の問題点等を知る目的で過去5年間の自験例を検討し,併せて脊髄誘発電位測定の診断的価値を検討した.
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