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臨床経験
骨折に合併せる末梢神経損傷について—221症例の臨床的検討
著者: 平沢泰介1 井上敦夫1 藤田隆生1 小島修1 榊田喜三郎1
所属機関: 1京都府立医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.75 - P.82
文献購入ページに移動骨折に伴う末梢神経損傷の頻度は,比較的少ないが無視することのできないものである.しかし,臨床的には骨折のみに目を奪われて神経損傷が見逃されやすく,また発見されても損傷状態の把握が困難で,予後の判定がつけにくい場合が多い.一方,末梢神経損傷の観点からその合併損傷としての骨折をみるとかなり頻度が高く,また末梢神経損傷発生の最も多い原因の一つと考えられている7,11,12).
このような神経麻痺の発生メカニズムをみると,骨折受傷時に神経も同時に損傷を受けるもの,骨折時には神経損傷がなくても骨折整復操作などによつて発生するもの,また,骨関節損傷の二次的変化によつて遅発性に発生するものなどがある.その治療法に関しては以前より種々の報告があり,Seddon8)らは症例の80%は自然回復が認められるので保存療法で充分な成果が得られるが,中には神経損傷状態を適確に把握してタイミングの良い観血的療法を行つて良好な成績を得る症例もあると述べている.
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