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論述
低血圧麻酔下,自家血輸血による脊柱側彎症手術
著者: 小熊忠教1 金田清志1 樋口政法1 野原裕1 佐藤栄修1 藤谷直樹1 本間信吾1 後藤康之2
所属機関: 1北海道大学医学部整形外科学教室 2北海道大学医学部麻酔科学教室
ページ範囲:P.918 - P.926
文献購入ページに移動多量の出血が予測される手術で,出血量を著明に減少させ得れば,手術は遙かに容易となる.さらにこの際,同種輸血が不要であれば,輸血による種々の合併症発生は皆無である.通常,脊柱側彎症手術,特に後方固定術時の出血量は多量で輸血を必要とする.この出血量をいかに減少させ,合併症なく手術を終了させるかについては,現在まで種々の検討がなされてきており,手術操作,術中体位,麻酔,その他の因子に関して改良の加えられてきた歴史ともいえる8).Goldsteinら5)が初めて低血圧麻酔下のHarrington手術を報告して以来,多数の追試がなされてきた3,10〜13).その結果,低血圧麻酔は術中出血量を40〜50%減少させ,術野を明瞭とするうえ,合併症発生がほとんど無く,極めて有用であると評価された.しかし,Harrington手術では出血量の著明な減少にも拘わらず,McNeil11)は平均1,380ml,熊野ら10)は平均1,100mlの同種輸血を必要とした.
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