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シンポジウム 動揺性肩関節
動揺性肩関節と大胸筋移行術
著者: 鈴木良平1 伊藤信之1 桑原弘治1
所属機関: 1長崎大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1172 - P.1183
文献購入ページに移動肩凝りや肩関節近傍の疼痛,疲労感,脱力感などを主訴として来院する患者の中に,立位で肩の力を抜かせて上肢を下方に牽引すると,肩関節の下方亜脱臼を起こすものがある.しかもポリオなどのような麻痺は存在しない.遠藤ら1)はこれをいわゆる動揺性肩関節(sog. Schulterschlottergelenk)と命名し,loose shoulderとも呼んでいる.このような症例の中には習慣性肩関節脱臼(不随意性)や随意脱臼(ないし亜脱臼)を示すものもあり,これが主訴であることもある.
われわれは1975年以来,このような動揺性肩関節のうち,愁訴の強いものに対して,遠藤ら1,2)の提唱した大胸節の肩甲下角への移行術を行つてきた.以下本症の病態ならびに手術成績について述べてみよう.
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