文献詳細
文献概要
論述
変形性股関節症に対する臼蓋形成術—その適応と術式—骨盤骨切り術と臼蓋形成術(神中法)
著者: 加藤哲也1 増田武志1 伊藤邦臣1 平井和樹1 東輝彦1 深沢雅則1 紺野拓志1
所属機関: 1北海道大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.220 - P.233
文献購入ページに移動変形性股関節症(以下変股症と略す)の治療適応は人工関節置換術が普及し比較的長期の有用性が確認されるに及んで高齢者に対する場合は非常に明快,単純になつた.しかし若年者の発症の多い本邦では人工関節以外の保存的手術が考慮されねばならない.変股症の治療目標は1)関節軟骨,骨組織の修復と2)股関節への荷重の軽減に2大別できよう.さらに後者においては①関節荷重面の拡大,②持続的圧迫の減少,③静力学的圧の減少があるが,広義先天股脱に起因する2次性の変股症が大部分を占める本邦では関節荷重面の拡大が重要な目標の1つとなる.そしてその最も有効な方法が広義臼蓋形成術である.
われわれは変股症の治療方針を年齢と重症度とにより決定している11).臼蓋形成術は40歳までの比較的若年の前関節症,初期関節症を主たる対象としているが,進行期のものでは大腿骨骨切り術との合併において行うことが多い.Campbellによれば臼蓋形成術は,shelf operation(棚形成術)とacetabuloplasty(臼蓋造形術)に分けられる.
掲載誌情報