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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科16巻3号

1981年03月発行

文献概要

シンポジウムI Multiply operated backの心因性要因

外科手術を施行した心因性背痛の臨床

著者: 矢吹聖三1 洲脇寛2 池田久男2

所属機関: 1高知県立中央病院神経科 2高知医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.234 - P.239

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はじめに
 器質的あるいは機能的な身体病変がなく,神経系の刺戟伝達が何んら損傷されていないにもかかわらず生じてくる疼痛があり,一般に心因性のいたみpsychogenic painと称される.このような心因性のいたみは精神医学の立場からも古くから問題にされており,精神分析学の創始者であるFreudもヒステリーの転換症状conversion syndromであると指摘している5).また本来器質的な疼痛であつても疾患の慢性化に伴い神経症的な色彩や心因の加重が加わりmental careが必要となつてくるcaseはむしろ稀でない.Mayo Clinicの集計によると精神科に入院する患者の39%が疼痛を訴えており,またその中でも腰痛を主訴とする症例が最も多く40%に及んだという6).これら精神科治療を要する疼痛患者に対して我が国でも近年では心身医学の分野から数多くの注目すべき業績が報告されているが,方法論・診療体制共に満足すべき現状ではなく将来に多くの問題を残しているといえる.
 今回は心因性の加重を有する背痛患者で術後精神科治療が必要となつた代表的な2症例について臨床経過を紹介し,心因性背痛患者の治療やmultiply operated back(以下MOB)の予防や対策について日常著者らが経験し感ずることを出来るかぎり実践的かつ具体的に述べたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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