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シンポジウムI Multiply operated backの心因性要因
腰痛患者を手術するに際しての精神科医より整形外科医への要望
著者: 片山義郎1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.262 - P.263
文献購入ページに移動1.病気ではなく,病人を治そう
まず,愚者の抱く不安や恐怖を可及的に除去するよう常に念頭に入れておいて欲しい,と思います.例えば,整形外科医にとつてみれば極めて手慣れた比較的容易な手術であつても,患者の手術に対する不安や恐怖は,通常極めて大きなものであります.したがつて,患者の疑問や質問に関しては"心配するな"の一言ではなく,時間をかけて,誠心誠意,具体的な説明を行い,身体的な病態にもとづいた心理・社会的な葛藤を解決して欲しい,と思うのです.これは術後の問題に関しても当てはまることだ,と思います.
医師→患者関係は1対multiであるのが実情ですが,患者サイドからみた患者→医師関係は1対1という絆(きずな)をもつて心情的コミュニケーションをもとうとしているのが患者の心理です.この点を再認識して,よく理解しておいていただきたい,と願います.いわゆる"医師—患者関係を大切に",ということはよく口にも出し,また,耳にもすることですが,その関係を表面的にではなく,もつと深い意味合いで理解しておくことが重要なことと思われます.さらに,患者の家族に対しても,同様な対処が望ましいことになります.
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