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症例検討会 骨・軟部腫瘍23例
症例21—頸髄髄外腫瘍
著者: 舘崎慎一郎1 辻陽雄1 玉置哲也1 小林健一1 小泉富美朝2
所属機関: 1富山医科薬科大学整形外科 2富山医科薬科大学病理
ページ範囲:P.522 - P.525
文献購入ページに移動現病歴:昭和51年(17歳),右肩甲部痛出現.その後,右三角筋萎縮にはじまる右上肢筋萎縮と脱力で急速に症状進行.昭和53年,前医初診.諸検査の結果(第21-1図),頸髄硬膜外腫瘍とくにextradural hemangiomaが疑われ,栄養血管結紮につづいて椎弓切除術が行われた.腫瘍は主に硬膜外に位置し,境界不鮮明で易出血性であり,hemangioma cavernosumと肉眼的に診断され,摘出不能であつた.術後,右上肢筋の著明な改善がみられ,通学可能であつた.しかし,約1年後,再び右肩の挙上困難が出現.以後,右上下肢の弛緩性麻痺と左上下肢の知覚障害が進行し,昭和54年10月,当科へ転院.神経学的に右C5〜8を中心とした著明な脱力をともなうC5 Brown-Séquardの脊髄症状を呈していた.入院時検査所見(第21-2図):myelogramでは,前後像でC3〜5にわたる右側の広範な骨破壊吸収像に一致して,硬膜外腫瘍陰影がみられ,側面像でC4椎体下縁からはじまる硬膜内腫瘍に特徴的なcappingがみられる.
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