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論述
過去20年間の骨肉腫の治療成績
著者: 藤原祐三1 山室隆夫1 石井正治1 大辻孝昭1
所属機関: 1京都大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.563 - P.568
文献購入ページに移動骨肉腫症例に対する治療成績は近年著しく向上し,5年累積生存率が50%をこえる報告12,14,21,24)もみられるようになつた.1960年代終り頃導入されたAdriamycin,1970年代初期のhigh-dose MTX-citrovorum factor rescue13)などの化学療法剤の使用およびその投与法の進歩のほか,術中照射など高エネルギー放射線の応用4,23,27)や肺転移に対する積極的な治療など,種々の方法がとりいれられた結果であると思われる.われわれも,従来行つてきた患肢の切・離断術を主とし,EndoxanまたはMitomycin Cの局所動脈内注入を行うという治療法から一歩を進め,Adriamycinの局所動脈内注入,MTX大量投与,β-tron術中照射,非特異的免疫療法のほか,肺転移に対しても積極的に手術療法を行いつつあるが,このようないわゆるmultimodalな治療法を行うに至るまでの治療成績をまとめておくことは,意義のあることと思われる.
そこで,今回,京都大学医学部附属病院整形外科に入院し治療をうけた過去20年間の骨肉腫患者を追跡調査した.以下にその調査成績を報告する.
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