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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科16巻8号

1981年08月発行

文献概要

シンポジウム 脱臼ペルテスとペルテス病

ペルテス病と脱臼性ペルテス様変化に対する股関節内肝油注入法の効果と限界

著者: 野村忠雄1 辻成人1

所属機関: 1石川整肢学園小児整形外科センター

ページ範囲:P.754 - P.762

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はじめに
 ペルテス病および脱臼性ペルテス様変化(以下ペルテス様変化)の経過は極めて遷延性で幼少児期から学童期の小児に長期の治療を強いるものが多い.また,その治療成績に関しては,比較的予後が良好とされてきたペルテス病は,長期予後調査が報告されるにつれ変形性股関節症(変股症)への進展の危険がかなり高いものであることが知られてきた.小野ら12)の報告では36例中,既に変股症となつたものは6例であつたとされており,松永ら7)はX線学上全く正常に復していたものは23.8%にすぎず,28.6%は比較的早期に変股症への進展が予想されると述べている.一方ペルテス様変化は,先天股脱の治療にRiemenbugel(R. B.)が用いられるようになつてから,その発生は極めて少なくなつたとはいえ,少数ながら発症例を認め,絶滅したわけではない.例えばR. B.によるペルテス様変化の発生率は鈴木14)によれば1.3%である.また新生児検診や脱臼予防活動の普及により,石田6)の述べる後天性因子による脱臼の発生率は減少し,逆に先天性因子の加わつた難治性の脱臼例の割合が多くなりつつある.難治性脱臼の症例の中には経過中ペルテス様変化を呈する症例が多く認められ,これらに対する治療上の種々の問題点は今後も必ずしも容易には解消しないと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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