文献詳細
境界領域
Arnold-Chiariの奇形,脊髄空洞症の診断およびその外科的治療について
著者: 鈴木俊久1 白馬明1 白旗信行1 西村周郎1 宮崎元滋2 樫本龍喜3
所属機関: 1大阪市立大学医学部脳神経外科 2住友病院神経内科 3岐阜市民病院整形外科
ページ範囲:P.1035 - P.1047
文献概要
Arnold-Chiariの奇形(以下Chiariの奇形)に関しては,1891年Chiariが「Über Veränderungen des Kleinhirns infolge von Hydrocephalie des Grosshirns」と題する論文で,先天性水頭症に伴う後脳の奇形としてはじめて報告した6).脊髄空洞症については,1546年Estienneによって「脊髄の空洞」と言う名称ではじめて記述され,1827年Ollivierによって「syringomyelia」なる用語が使用された17).そしてその後Chiariの奇形とsyringomyeliaとの関係が注目されるようになった4).また1958年Gardnerが,Chiariの奇形に伴うsyringomyeliaに対する新しい手術方法(後頭下開頭術と筋肉片による中心管の閉塞)を発表して以来,その治療成績は向上した13,14).しかし,本邦においては本疾患に対する関心度が低いためか,多数の症例についての報告は少ない9,19,25).
掲載誌情報