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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科17巻3号

1982年03月発行

雑誌目次

視座

整形外科の2つの面

著者: 吉川靖三

ページ範囲:P.195 - P.195

 われわれ整形外科の仕事には,力学的,機械的な面と,生物学的要素との2つの面がある.骨折治療などは前者を多く要し,リウマチや代謝疾患の治療には後者が多く必要である.そして整形外科医によって,どちらかの要素,物の考え方を多く持っているか,人によって違いがあるように思われる.
 私共の恩師三木威勇治先生は,どちらかというと後者を重視された.先生はわれわれ若い者の骨折手術で,大きなプレートの入ったX線写真をごらんになると,骨は材木ではないとよく言われたものであった.骨の生物学的特性を無視しないように戒められたものである.近年繁用されている大きなAOプレートをごらんになったら,先生はなんと言われるであろうか.

論述

沖縄における弾性線維腫の分布調査と家系内発生例について

著者: 長嶺信夫 ,   野原雄介 ,   伊藤悦男

ページ範囲:P.196 - P.203

はじめに
 1959年Järvi & Saxén1)は4人のフィンランド人の肩甲下部腫瘤内に特異な形態の弾性線維を有する疾患をelastofibroma dorsi(背部弾性線維腫)と名づけて報告した.それ以来,世界各地から同様の症例報告がなされているが,自験例を除くとわずかに91例の報告があるにすぎない.著者はこれまで沖縄県内の医療機関の協力のもとに沖縄県内の弾性線維腫患者を調査,検索し報告してきたが2〜10),1981年11月10日現在201例の組織学的確定診断例を経験している.これは海外例を含めた全報告例292例の68.8%にあたる.
 今回は前回報告後の弾性線維腫分布調査結果と家系内発生例を記載するとともに南島先史文化圏や琉球方言分布との関連でみた弾性線維腫分布について報告する.

悪性軟部腫瘍の治療

著者: 姥山勇二 ,   後藤守 ,   山脇慎也 ,   井須和男 ,   加藤貞利 ,   中里哲夫

ページ範囲:P.204 - P.211

はじめに
 四肢体幹に発生した悪性軟部腫瘍の予後が遠隔転移,中でも肺転移の有無と密接に関連していることはわれわれの報告からも15)明らかである.したがって悪性軟部腫瘍の治療成績の向上をはかるためには,原発巣を完全に除去し局所再発を防ぐことは必要であるが,そのうえさらに肺転移をいかに防止し,また治療するかという点を考慮に入れなければならない.この点については諸家により種々の治療方法がなされている.今回われわれは,当科でこれまでに行ってきた悪性軟部腫瘍の治療成績について述べ,現在のわれわれの治療方針を報告する.

肘関節のdisplaced fat pad signについて

著者: 西島雄一郎 ,   山崎安朗 ,   東田紀彦 ,   村本潔 ,   石野洋 ,   山本雅英 ,   佐々木雅仁 ,   岡田正人 ,   谷和英

ページ範囲:P.212 - P.219

I.はじめに
 肘関節のdisplaced fat pad signは肘関節付近の骨折の診断上,軟部組織の変化を示す重要なレ線上のsignである.特にレ線上判読困難な骨折の診断においてはdisplaced fat pad signの存在を常に念頭においてレ線像を読影する必要があると思われる.
 本邦においては,fat pad signの重要性は十分認識されているとは言えず,成書2,9)においても本signについて詳述されてはいない.

遊離足背皮弁の四肢再建術への応用

著者: 土井一輝 ,   服部奨 ,   河合伸也 ,   中村修二 ,   津江和成 ,   小谷博信 ,   松岡彰 ,   桑田憲幸 ,   酒井和裕 ,   田口敏彦 ,   表寛治郎

ページ範囲:P.220 - P.228

はじめに
 微小外科(microsurgery)の進歩により多くの画期的な手術法が考案され,四肢再建術においても,従来,治療困難であった疾患に対しても次々と新しい治療法が確立されてきた.
 遊離皮弁移行術は,Daniel(1973)の最初の臨床的応用の成功以来,幾多の報告が認められるようになってきた.遊離皮弁の中でも,遊離足背皮弁は,移行した皮弁の知覚回復が可能であるfree sensory flapとして,McCraw(1975),Daniel(1976)の報告以来,特に手の外科領域の再建に用いられているが,症例報告的な文献が散見されるに過ぎない.

対談

脊髄外科のパイオニア東陽一先生に聞く

著者: 東陽一 ,   天児民和

ページ範囲:P.229 - P.235

 天児 東先生,今日はお忙しいところをわざわざおいでいただきまして,本当にありがとうございます.
 私は,昭和5年に大学を卒業しまして,九大の整形外科に入局をしましたが,ちょうどそのとき東先生がおられまして,神中先生から,「おまえは,東先生についてmyelographyの勉強をせよ」と言われましたのです.それで東先生から,後頭下穿刺で,造影剤を脊髄液腔に注入する方法を習いました.それからもう51年たちましたが,先生はまだお元気でいらっしゃいます.

症例検討会 骨・軟部腫瘍10例

症例1—右前足部悪性軟部腫瘍(Clear Cell Sarcoma with Melanin)

著者: 望月一男 ,   加藤正 ,   原寛 ,   仁科秀雄 ,   河路渡 ,   米沢志生子 ,   前田昭太郎 ,   福住直由

ページ範囲:P.236 - P.239

 患者:33歳,主婦
 病歴:18歳頃より右第5趾MP関節付近に無痛性の腫瘤に気付いたが放置していた.昭和55年6月足部を捻挫してから同部が腫脹し有痛性となったので,9月1日当科を受診した.腫瘤は第5趾MP関節の外側から蹠側にかけて4×3cm大,弾性軟で,x線像で腫瘤陰影をみるも骨には異常はなかった(図1-1).赤沈値の亢進以外検査に異常はなく,99mTcシンチで右足関節より足部にかけて集積像がみられた.初回手術(摘除術)後,synovial sarcoma,epithelioid typeとの組織診断をえたので,制癌剤持続動注を行い6週後に右下腿切断術を施行した.しかし,5週後に右鼠径部に転移巣が出現し,リンパ節郭清術を行ったが局所再発した.肺転移が明らかでないため骨盤半切除術を検討したが同意を得られず,患者は近医で化学療法を受けたいとの希望で56年3月退院した.

症例2—左下腿前面軟部腫瘍

著者: 加藤明 ,   荻原義郎 ,   山際裕史

ページ範囲:P.239 - P.241

 患者:66歳:女性,主訴:左下腿腫瘤
 昭和54年4月頃より左下腿前面に腫脹を来たし圧痛があった.放置していた所,55年9月頃より夜間痛を伴ない腫瘤増大してきたため,同年9月11日某医にて摘出術が施行された.同年10月中旬より前回手術部に再発を来たし,同年11月17日当科に人院した.入院時所見:左下腿前面中央部に2×2×2cm大の腫瘤が2個あり,辺縁明瞭で弾性硬,表面平滑であった.腫瘤は皮膚と強く癒着し,脛骨との可動性もなかった(図2-1左).鼠径リンパ節は触知し得なかった.X線写真では,脛骨への圧迫,浸潤像は認めなかった.以上より軟部悪性腫瘍の疑いにて,11月20日広範切除術が施行された.腫瘍は罹患部の皮膚,周辺筋群,脛骨の骨皮質の一部と共に一塊として切除した.摘出標本肉眼所見では,腫瘍は皮下にあり,前脛骨筋と脛骨外側面に接してあり,2×2×2cm大が2個と,0.5×0.5×0.5cm大のものが1個あった.また被膜に被われ,割面黄白色,充実性で骨内への侵襲はなかった(図2-1右).組織所見:HE染色においては,好酸性の豊富な胞体を持つ多形性細胞が密に増殖し,核は比較的明るく多形性で,粗なクロマチン構造がみられる.散在性にbizarreな赤い胞体を持った多核巨細胞がみられるが,touton型巨細胞はみられない,またリボン細胞,ラケット細胞などと称されるmyeloblastを思わせる細胞はない(図2-2).横紋はみられず,PTAH染色においてもみられない.PAS染色では,細胞によっては弱陽性に染まる細胞もみられるが,多くはPAS陰性である.一方好銀染色では,好銀線維は不規則で蜂巣状に細胞群をとり囲んでいるのみで,storiform patternはみられない(図2-3).電顕像:胞体内に多数の疎面小胞体,あるいは発達したGolgi装置,小型のmitochondriaなどがみられる.さらに本細胞の特徴的所見として,豊富な細線維が小器官の間にび漫性に存在することである.しかし横紋筋肉腫にみられるZ-bandの形成,束状のfibrilの集積像はみられない.また胞体内にはphagosome,細胞によっては空胞,脂肪摘も認められるが,glycogen顆粒は認められない.また細胞質は不整で,部分的にmicrovilli様の細胞突起が存在するが,細胞間のdesmosomeなどはみられず,基底膜構造もみられない(図2-4).

症例3—2歳 女 右下腿軟部腫瘍

著者: 横山庫一郎 ,   恒吉正澄 ,   篠原典夫 ,   岩切清文

ページ範囲:P.241 - P.244

 患者:2歳 女児
 主訴:右下腿軟部腫瘍

症例4—左下腿軟部腫瘍

著者: 藤田昌宏 ,   佐藤利宏 ,   高橋達郎 ,   黒川洋 ,   安藤政克 ,   下田晶久 ,   佐藤邦忠 ,   竹光義治

ページ範囲:P.244 - P.246

 症例:43歳 女性,主婦
 1)臨床歴:22歳の頃歩行開始時の左アキレス腱腫脹感と下腿遠部1/4内側に拇指頭大までの2〜3個の腫瘤に気付き,某医院および某医大で生検をうけ,組織学的にいずれも横紋筋肉腫と診断されたが患者は下腿切断を拒否し,放射線治療を1カ月間うけたのみで,その後特別の治療をせず,約17年間放置していた.39歳になり,初回生検部付近に再度腫瘤形成を認め,疼痛も伴ったため旭川医大病院整形外科を受診した.腫瘤は皮膚および底部と強く癒着し,不鮮明な境界,軟骨様の硬度をもち,皮膚表面は一部凹凸不整,一部で潰瘍形成を伴っていたが局所熱感はなかった.生検で,myogenic sarcomaと診断し,放射線照射後下腿切断術を行った.切断後2.5年の現在患者は再発,転移を認めず健在である.

症例5—発生後58年を経て、著名な石灰化を伴った超手拳大の左大腿軟部腫瘍

著者: 土井謙司 ,   川端健二 ,   堤啓 ,   大杉紘

ページ範囲:P.247 - P.249

 患者:74歳 女性
 1923年,左大腿内側に小腫瘤を触知し,以後徐徐に増大し,最近では歩行の妨げになり始めたため1980年10月大杉病院を受診した.

症例6—左大腿骨骨腫瘍

著者: 花岡英弥 ,   崎原宏 ,   入久己 ,   望月一男 ,   布田由之 ,   石井良章 ,   福住直由

ページ範囲:P.249 - P.253

 患者:22歳 女
 現病歴:昭41年1月左大腿骨下端部病的骨折を来し(図6-1A),2月,慶大にて掻爬,骨移植,キュンチャー釘による固定を行ったが,同年7月頃より再発し,9月に再度,掻爬,骨移植を行った.しかし,同年12月には,大腿骨下端,脛骨上端の骨融解と軟部組織の膨隆する腫瘍のため(図6-1B),翌昭42年1月,大腿骨中央での切断術を施行した.その後,11年間は順調であったが,昭53年10月,大腿骨切断端に骨融解と軟部へ及ぶ腫瘍の再発を見(図6-2A,B),杏材大学にて転子間部での再切断術を行った.

症例7—右大腿骨骨腫瘍

著者: 前田昌穂 ,   水野耕作 ,   広畑和志 ,   岡田聡 ,   森本一男

ページ範囲:P.253 - P.255

 患者:33歳(昭和44年当科初診時年齢)女性
 主訴:右大腿下部異和感および正坐困難

症例8—右大腿骨骨腫瘍

著者: 長沢博正 ,   赤星義彦 ,   武内章二 ,   常田昌弘 ,   兼松秋生 ,   北川洋 ,   葛西千秋 ,   細江英夫 ,   下川邦泰 ,   尾島昭次 ,   池田庸子

ページ範囲:P.256 - P.259

 患者:36歳,男,昭和50年頃より誘因なく右大腿遠位部より膝関節にかけての疼痛を覚えるようになった.昭和54年2月某病院でレ線上異常を指摘されたが放置.昭和55年3月頃より局所の腫脹と自発痛が増強し歩行困難となったためbiopsyを受け,悪性腫瘍の疑いにて,同年4月30日当科に紹介され入院した.
 入院時右大腿遠位部は瀰漫性に腫脹し,熱感,圧痛を認めた.臨床検査成績では赤沈1時間値30mm,CRP 1+,GPT 74I.U.とやや高値を示した以外にはとくに異常を認めなかった.昭和54年2月の某病院初診時のレ線像では,右大腿骨は骨幹部から骨端部にかけて広範な多胞性スリガラス様変化を認め,骨皮質は菲薄化膨隆していたが骨膜反応は認めなかった.1年2ヵ月後の55年4月当科入院時レ線像では,病巣はさらに中枢側,末梢側へ広がり骨皮質の菲薄化膨隆も増強し病的骨折も認めたが,やはり骨膜反応はみられなかった(図8-1).断層撮影,CTスキャンでも同様の所見を認めた.99mTc骨シンチグラフィーではレ線像に一致して強い異常集積像がみられた.

症例9—仙骨部腫瘍

著者: 井上和秋 ,   石井清一 ,   金田清志 ,   山脇慎一 ,   佐々木鉄人 ,   八木知徳 ,   松野丈夫

ページ範囲:P.259 - P.262

 患者:25歳女性,昭和45年頃より腰痛と左下肢痛があり,近医で椎間板ヘルニアと診断され治療を受けた.しかし疼痛が持続するため昭和49,50年にかけて左L4/5間のLove手術およびLaminectomyを受けた.その後も軽快しないため昭和51年8月北大整形外科を受診し,X線像で仙骨の破壊が発見され入院した(図9-1a,b).
 入院時単純X線では仙骨の著明な骨破壊が見られ,前方では骨皮質の破壊と軟部組織への膨隆も見られた.断層X線像では仙骨後方部の破壊が著明で,第4腰椎にも後方からの浸潤像が認められ,ミエログラフィーでも第4腰椎下縁での完全停止を示した.

症例10—多発性骨腫瘍

著者: 須田昭男 ,   渡辺好博 ,   高橋信英 ,   高橋知香子 ,   笠島武 ,   今井大

ページ範囲:P.263 - P.266

 患者:29歳,女性,主訴は左膝部痛.昭和44年12月,左大腿部痛のため某医を受診し,X線写真で多発性骨疾患および左大腿骨の病的骨折を指摘された.昭和45年5月と昭和46年11月の2回,某病院整形外科で左大腿骨病巣掻爬および骨移植(ヒト保存骨および自家骨)を受け,いずれの病理組織学的所見も軟骨腫と線維性骨異形成の2つの組織像がみられると報告されている.昭和50年11月右大腿部痛が出現し,右大腿骨病巣掻爬および骨移植(ヒト保存骨)を受け,Hand-Schuller-Christian病の病理診断を受けている.昭和54年10月左大腿部痛が出現し,同年11月当科に入院した.入院時検査成績はアルカリフォスファターゼ値が696国際単位と上昇している他は異常が認められなかった.単純X線写真で後頭骨,第6頸椎,骨盤,両大腿骨,両足指骨に多発性の異常陰影が認められ(図10-1a,b),左大腿骨の中枢側に石灰化を伴う骨透明巣がみられ,骨幹部に嚢腫様陰影がみられ,遠位骨幹端部から骨端部に至る広汎な骨吸収像と不規則な石灰化像がみられ,骨皮質の破壊と骨皮質外の腫瘍陰影もみられた(図10-2a).血管造影では,遠位骨幹端部の病巣部に悪性像がみられた(図10-2b).

手術手技シリーズ 脊椎の手術・5

腰椎分離症に対する分離部骨移植術

著者: 冨永積生

ページ範囲:P.267 - P.278

はじめに
 保存的治療に効果の認められない難治性の疼痛を有する若年者の腰椎分離症の症例に対し,分離部に骨移植し,解剖学的,生理的にあるいは構築学的,機能的に,正常椎弓ならびに正常腰椎にまで修復せしめ,これより分離部動揺基因性疼痛を消失せしめる目的をもって私共は本症に対し分離部骨移植術なる術式を考案した.
 本手術法は昭和44年以後,12年間に15例にこれを行い,3年以上経過し,すべての症例が私共の目的通りに骨癒合が良好であり,分離部は正常の形状にまで復元し症状の消失をみた.本年に5例の症例を追加し,手術結果の良好なることを確認し,本術式が確立されたものと考えるにいたったので,本術式が広く行われんことを期待し,ここにこの手術手技を図式化して紹介する.

臨床経験

関節リウマチの環軸関節変化

著者: 亀山三郎 ,   藤森十郎 ,   千賀博文 ,   小野恵都子 ,   吉野槇一 ,   平林洌

ページ範囲:P.279 - P.282

はじめに
 関節リウマチ患者の環軸関節を中心とした頸椎変化については,以前より数々の発表がなされてきた1,2,5〜9,11,12)
 また,環軸関節亜脱臼時の治療法も,近年確立されてきたように思われる4,13)

"誤って頸髄内に刺入された鍼"の1症例

著者: 後藤直史 ,   吉沢英造 ,   鈴木俊明

ページ範囲:P.283 - P.286

 中国との交流が深まるにつれ鍼治療に対する関心が巷で一段と高まりつつある.一部の医師の間で鍼治療を科学的に解明し,臨床に応用しようとする動きがある一方,危険を伴うと考えられる鍼治療が,鍼師という非医師にまかされているのが現状である.最近われわれは誤って頸髄内に刺入され残留したと思われる折鍼により神経障害をきたした1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

脊髄硬膜外血腫の1治験例

著者: 佐々本博 ,   矢部裕 ,   吉沢英造 ,   鈴木俊明 ,   大久保和彦

ページ範囲:P.287 - P.291

はじめに
 脊髄硬膜外血腫は,1869年Jacksonによりspinalapoplexyとして報告されて以来,すでに100を越える症例があり,本邦においても,20例近い報告があるが,いまだその本態は明らかでない.すなわち,その多くは明らかなる原因のない血腫であり,抗凝固療法中の症例や軽微な外傷に続発するもの,また血管異常によるとされるものもある.
 血腫形成部の脊髄領域に一致した突然の疼痛ではじまり,急速な麻痺を呈するものが大部分で,一般に胸椎から胸腰移行部に好発し,頸椎に出現することは比較的少ない.

亜急性硬膜外膿瘍の1例

著者: 坂田敏郎 ,   山崎京子 ,   王昭宏 ,   荒堀弥須男 ,   栗原章

ページ範囲:P.292 - P.295

はじめに
 脊髄硬膜外膿瘍は比較的まれな疾患であり,近年化学療法の進歩によりその頻度は減少してきてはいるが2),早期発見,早期治療を逸すると,神経症状を残すことも少なくない3,4,11)
 今回,われわれは,頻回の硬膜外ブロックで発症したと考えられる亜急性脊髄硬膜外膿瘍の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

装具・器械

セントラルパイピング利用ターニケットの考案

著者: 松金郁郎 ,   堀之内克憲 ,   青木範充 ,   伊佐二久

ページ範囲:P.296 - P.296

 今日,整形外科領域における四肢の手術では駆血装置(ターニケット)は必要欠くべからざる器械となっている.現在市販されているものとしては,1.自転車空気入れ式のもの,2.手動による加圧ポンプ型,3.小型ガスボンベ付属型などがある.1は最も安価であるが故障しやすく労力を要する欠点があり,2は耐久性はあるが高価で手動を要する.3は人手は要しないがガスボンベを常備する必要がある.
 そこで私達は,セントラルパイピングを利用したターニケットを考案試作した.写真に示すようにパイピングアウトレットに適合するジョイント,延長チューブ,一次減圧弁,微調整ノブ,圧力計,駆血帯からなる.アウトレットにおける圧縮空気圧は3〜4気圧の為一次減圧弁で600〜800mmHgの一定圧に調節し安全対策とした.微調整ノブでターニケット圧を300または600mmHg等の所望圧まで上げた後閉鎖する.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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