文献詳細
論述
沖縄における弾性線維腫の分布調査と家系内発生例について
著者: 長嶺信夫1 野原雄介2 伊藤悦男3
所属機関: 1国療沖縄病院外科 2那覇市立病院病理 3琉球大学医学部病理
ページ範囲:P.196 - P.203
文献概要
1959年Järvi & Saxén1)は4人のフィンランド人の肩甲下部腫瘤内に特異な形態の弾性線維を有する疾患をelastofibroma dorsi(背部弾性線維腫)と名づけて報告した.それ以来,世界各地から同様の症例報告がなされているが,自験例を除くとわずかに91例の報告があるにすぎない.著者はこれまで沖縄県内の医療機関の協力のもとに沖縄県内の弾性線維腫患者を調査,検索し報告してきたが2〜10),1981年11月10日現在201例の組織学的確定診断例を経験している.これは海外例を含めた全報告例292例の68.8%にあたる.
今回は前回報告後の弾性線維腫分布調査結果と家系内発生例を記載するとともに南島先史文化圏や琉球方言分布との関連でみた弾性線維腫分布について報告する.
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