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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科17巻4号

1982年04月発行

文献概要

特集 脊椎分離症・辷り症

腰椎分離辷り症に対するSpinal Instrumentation

著者: 金田清志1 野原裕1 小熊忠教1 佐藤栄修1 藤谷直樹1 鐙邦芳1 樋口政法1 藤谷正紀2

所属機関: 1北海道大学医学部整形外科学教室 2北海道整形外科記念病院

ページ範囲:P.400 - P.410

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はじめに
 腰椎分離辷り症における疼痛発現病態として17,19,26),(1)分離部骨性支持欠損による脊椎機能運動単位諸靱帯への異常ストレス,(2)分離辷り椎間板の変性と椎間不安定性,(3)分離部を架橋しているfibrocartilagenous massによる神経根圧迫,(4)辷りが高度(50%以上)となった場合の分離部中枢端と下位椎(通常は仙椎)との間での神経根のbony impingementや椎弓根による神経根圧迫(pedicular kinking),(5)椎間板ヘルニアの合併(通常は辷りの上位椎間に発生)などがある.最も一般的症状の腰臀部痛は(1),(2)のinstabilityに基づくものである.
 本疾患の手術療法としては,不安定椎のstability再建を日的として,後方固定,後側方固定,椎休間固定や神経根除圧のためGill法6)など多くのものがある.後方固定は偽関節形成率の高いことから2,4,7),後側方固定がより確実であるとされてきた20,23,24,26).Gillは分離i部fibrocartilagcnous massによる神経根圧迫に着目し脊椎固定を行わない分離椎弓切除術を発表,その後多くの追試がなされた.Bosworth2)はGill法は脊柱のstabilityを障害し術後の辷り増加をきたすとし,後方H-graftを考案した.Marmor & Bechtol18),Taillard22),Wiltse25)らもGill手術後の辻りの増加を報告した。Amuso et al.1)はGill手術後の長期観察例を調査,33人中12人(36%)が不満足な結果であり,その原因分析で,本手術後のinstabilityによるmechanical back painと分離椎弓切除部硬膜周囲への瘢痕侵入による持続性ないし再発性腰痛や下肢痛をあげ,脊椎固定術併用の必要性を論及した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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