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骨肉腫予後因子の検討(第1報)—多変量解析の導入
著者: 井須和男1 後藤守1 山脇慎也1 姥山勇二1 中里哲夫1 石井清一2 佐々木鉄人2 薄井正道2 八木知徳2
所属機関: 1国立札幌病院整形外科 2北海道大学医学部整形外科
ページ範囲:P.531 - P.539
文献購入ページに移動骨肉腫の予後は,原発巣の根治手術と平行して行う系統的化学療法の導入により,大きく改善されつつある.われわれの経験した症例においても,化学療法により単なる延命のみでなく治癒率の向上も期待できることを報告した4).化学療法の治療効果を判定するとき,対照群に対する化学療法群の生存率の向上が指標となる.その際,両群の特性の偏りを考慮しなければ,真の化学療法の効果を判定することは困難である.すなわち,骨肉腫の予後に影響を与える因子を明らかにし,その予後因子について両群の差を評価する必要がある.
一方,現在の化学療法は,症例毎の差を無視した画一的なスケジュールで行われている.従来の系統的化学療法を行わなかった症例でも約20%の治癒率のあったこと4),現在の化学療法でも早期より肺転移の出現してくる症例のあること7),また化学療法の副作用も決して無視できないことなどを考えると,個々の症例の特性に応じた化学療法の実施が理想である.そのためには,適切な抗癌剤を選択するスクリーニング・テストとともに,予後因子の解明が不可欠である.
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