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論述
ゲンタマイシン混入骨セメント・ビーズによる骨髄炎の治療
著者: 矢島弘嗣1 糸原弘道1 金森行男1 増原建二2 長鶴義隆2 塩見俊次2
所属機関: 1天理市立病院整形外科 2奈良県立医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.643 - P.651
文献購入ページに移動骨セメント(polymethylmethacrylate)は,整形外科領域において,人工関節置換術の際にprosthesisの固定材料として広く使用されてきた.一方,1970年にBuchholzら1)は,重合した骨セメントからmonomerが放出される事実に着目し,骨セメントに抗生物質を混入すれば,抗生物質が持続的に長期間放出されるのではないかと考え,エリスロマイシンとゲンタマイシンを骨セメントに混入し,股関節全置換術に使用した結果,術後感染の著しい減少をみたと報告した.その後,本法は術後感染の予防対策として,Hessert3)(1970),Wahligら13)(1972),本邦においては木下5)(1973),南平ら8)(1974),吉野ら17)(1977)により種々の抗生物質について,実験的・臨床的報告がなされた.一方,1974年Klemm6)により化膿性骨髄炎などの治療目的としても本法が有用であることが示唆された.それは,病巣掻爬後の欠損部に,ゲンタマイシンを混入した骨セメント・ビーズを充填し,ビーズより遊出するゲンタマイシンにより骨髄炎を治癒せしめるという,それまでにない全く新しいタイプの化学療法であった.そして,Wahligら14,15)(1976,1978),Vécseiら12)(1981),住田ら11)(1979)により,その臨床的有用性が確認されている.
今回われわれは,閉鎖性局所持続洗浄法によって十分な効果が得られなかった難治性の化膿性骨髄炎3例を含む合計4症例に対して,ゲンタマイシン混入骨セメント・ビーズを使用し,良好な結果を得たので,それらの症例を中心に文献的考察を加え報告する.
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