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論述
老人の大腿骨頸部骨折に対する手術適応—全身状態からの考察
著者: 須藤容章1 光野一郎1 種部直之1 田縁千景1 岡田温1 藤田仁1
所属機関: 1大津赤十字病院整形外科
ページ範囲:P.671 - P.678
文献購入ページに移動老人の大腿骨頸部骨折は日常診療においてよく遭遇する疾患であるが保存的に治療するか,観血的に治療するかということになると異論のあるところである.しかし一般的な大勢としては観血的療法,早期離床,社会復帰というのが有力のように思われる13,14).
観血的療法にあたり,その老人が麻酔および手術的侵襲に耐えられるか,また手術によって余命を短縮させるのではないかという懸念がある.一般外科においては高年者に対する手術適応に関して,術前から術後の経過を予測する種々の試みがなされてきた.例えば,原田のrisk点数表示法4),卜部の5段階老化分類法28),林の動脈硬化度指数分類法6)等がある.これらの方法は一般外科領域ではよく用いられているが眼底所見の分類が必要であるばかりではなく,心臓の運動負荷テストが必要であり,大腿骨頸部骨折の老人に対しては無理な面がある.そこでわれわれはもっと簡単な安達のpoor risk基準1)に準じて(表1),われわれの症例を分類し(表2),術前の検査結果から予後を推定しようと試みた.
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