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論述
当科における最近のEwing肉腫の治療
著者: 中馬広一1 増田祥男1 篠原典夫2 西尾篤人1
所属機関: 1九州大学医学部整形外科学教室 2国立福岡中央病院整形外科
ページ範囲:P.775 - P.784
文献購入ページに移動1921年にEwingが報告した悪性小円形細胞腫は,予後の不良さ故に,多くが治療に難渋させられてきた悪性腫瘍である.高い放射線・抗癌剤感受性を有しながら再発及び転移を起こしやすく,5年生存率が10〜20%で2年間でほとんど死亡するというきわめて進行の早い腫瘍であった1,4,18).しかし,1970年代になり,臨床上確認されない小転移巣に対する補助化学療法を強力かつ計画的に施行することで,漸次無病期間延長,生存率向上することが報告されてきた5,7,8,18).欧米では,50%以上の5年生存率が議論される時代に入っている2,14).
我々が,過去10年間に臨床経過,病理組織検査でEwing肉腫と診断し,治療経過観察し得た症例は,7症例であった.諸家の治療法の変遷に応じて,放射線療法,手術療法に化学療法,局所灌流法,そして計画的補助的化学療法と新しい治療概念を導入しつつ治療してきた.症例1〜3では,手術,放射線療法単独治療では,完全寛解さえも得られず4ヵ月から1年間で死亡していた.一方,症例4〜7に対し,放射線療法,補助的化学療法を施行し,寛解導入力,無病期間延長効果からみて明らかに有効であることを確認した.
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