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浸潤性脂肪腫の臨床病理学的検討
著者: 青山茂樹1 藤内守1 西川洋三1 井形高明1
所属機関: 1徳島大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.929 - P.933
文献購入ページに移動浸潤性脂肪腫は四肢の深部軟部組織に発生する良性の間葉性腫瘍であり,組織学的には骨格筋に浸潤する成熟脂肪細胞からなり,異型性を有する脂肪芽細胞を認めないのが特徴的であるとされている.また本腫瘍には,浸潤型態により筋肉間脂肪組織より発生する筋肉間脂肪腫と筋肉内脂肪組織より発生する筋肉内脂肪腫に分けられている.四肢の深部に存在し摘出不完全例には,しばしば再発がみられたとの報告はあるが,悪性変化を示したという症例はない.本腫瘍の報告は非常に古く,1853年Paget2)の報告が最初のものと考えられるが,その後の報告例は少なく本邦では,いまだ5症例の報告をみるのみである.
今回,私達は浸潤性脂肪腫と考えられる3例(筋肉間脂肪腫1例,筋肉内脂肪腫2例)を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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