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論述
双生児の特発生側彎症に関する検討
著者: 小熊忠教1 金田清志1 越前谷達紀2
所属機関: 1北海道大学医学部整形外科科学教室 2国立西札幌病院整形外科
ページ範囲:P.228 - P.235
文献購入ページに移動特発性側彎症の病因は未だ不明である.しかし,近年,Wynne-Davies26),Riseborough21),Cowell2),Plais20),De George4),Filho7),船津10)らによる特発性側彎症の疫学調査によって,本症では家系内発生頻度の高いことが明らかとなった.一方,人間に対する遺伝と環境の影響を知るための有用な一方法として,従来,一卵件と二卵性双生児を比較する研究が多方面で行われてきた.特発性側彎症の双生児研究は,1875年にGalton12)が初めて報告して以来,多数の報告がある1,5,6,8,11,13,19,20,22).しかし,これらの報告中,卵性鑑別が血液型判定により正確になされたのは,Fisher8),Gaertner11),Roaf22)の3報告にすぎない.さらに一歩譲って卵性鑑別が正確であると仮定しても,Gaertner, Roafを含め,ほとんどの報告は,一卵件双生児の症例報告である.したがって,これら文献から双生児例を拾い集めて検討しようとすると,一般集団に比較して,一卵性双生児の占める割合が二卵性双生児に比べて著しく高くなり,しかも,類似した双生児のみが集められることになる.その結果,一卵性双生児と二卵性双生児の比較検討にさいし,正確性を欠いてしまう.
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