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特集 上位頸椎部の諸問題
環軸椎亜脱臼に対する手術症例の検討
著者: 酒匂崇1 森本典夫1 肥後勝1 森園良幸1 富村吉十郎1 赤嶺卓哉1 白坂智子1
所属機関: 1鹿児島大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.449 - P.455
文献購入ページに移動環軸椎亜脱臼は,比較的よくみられる疾患で,種々の原因で生じる.脱臼が進行して非整復性となると,麻痺の回復も期待し難くなり,今後,治療上解決されるべき問題が多く残されている.本症の外科的治療の目的は,後方固定あるいは前方固定により,環軸椎間の固定を行い,脱臼の進行を防止し麻痺の回復を計ることにある.
本症に初めて手術を行ったのは,MixterとOsgood14)であり,C2の棘突起と環椎後弓を絹糸で縛り固定を行い,良い結果を得ている.その後,多くの手術方法が発表されたが,現在ではwiringとbone graftの組合せによる後方固定術が一般的方法となっており,人によっては後頭骨を含めての固定を奨めている.一方,前方固定を積極的に行う人もあるが,経口的前方固定は感染の危険性の大なること,また,前側方アプローチによる前方固定は侵襲が大なることなどより,一般的に広く行われるには至っていない.このように本症に対する外科的治療の目的は環軸椎間の固定を行うことにより,脱臼の進行を防止し,麻痺の回復を計ることである.しかし本症の手術成績についてはまとまった調査報告は少なく,不明な点が多々ある.
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