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論述
若年者における重度扁平内反股の治療—大腿骨外反骨切り術と骨盤骨切り術併用の試み
著者: 伊藤邦臣1 須永明1 鈴木愉1 波木卓夫1 児玉吉伸1 宝住与一1 加藤哲也2
所属機関: 1自治医科大学整形外科 2慶應大学月ヶ瀬リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.515 - P.522
文献購入ページに移動先天性股関節脱臼(以下先天股脱と略す)の初期治療後や稀にPerthes病後に遺残した20歳前後の若年者の亜脱臼や臼蓋形成不全は日常の外来で時に遭遇することがあるが,それらに対してどのように対処すべきかという点については諸家により見解が異っており,その治療は必ずしも容易でない.遺残骨頭変形が軽微で臨床症状が顕著でなければ,積極的に手術的治療を選択する必要はなく経過観察で十分であろう.しかし骨頭変形が著明で強い亜脱臼と臼蓋形成不全を伴う症例は,変股症としての症状は軽くても早晩に変股症が進行する可能性は高いと考えられるため可及的に正常な股関節に再建する必要があろうと思われる.
とくに骨頭が茸状に変形している症例は,骨頭の曲率と臼蓋のそれとが著しい不整合を呈していることが多く放置すると予後は不良である.このような重症遺残変形症例に対して,我々は大腿骨外反骨切り術と骨盤骨切り術(Chiari法)を同時に併用する手術的治療法を選択している.本法で治療された症例の経過観察期間はまだ短期であるが,ほぼ満足すべき成績を得ているので報告する.
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