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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科18巻6号

1983年06月発行

文献概要

シンポジウム 先天股脱初期整復後の側方化

先天股脱における外側偏位の病態

著者: 岩崎勝郎1 池田定倫1 鈴木良平1

所属機関: 1長崎大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.607 - P.613

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はじめに
 先天股脱の初期整復後にみられる骨頭の非求心性は,外側偏位,側方化,亜脱臼,遺残性亜脱臼,偽整復などの名称でよばれているが,その意味するものが必ずしも同じとは限らず,使用法にいささかの混乱があることは確かである.本論文では整復後のX線像で骨頭の求心性が保持されていない状態をとりあえず外側偏位と一括して呼ぶことにする.それで当然のことながらこの中にはいろんな病態が含まれているが,今回は,この外側偏位を,行われた整復法,原因,自然経過などの面から分析してみたい.
 外側偏位の診断基準についても,必ずしも一定しておらず,内側関節裂隙の幅やCE角を指標とするものの他に,寺山ら15),植家ら16)は飯野法を使用し,山室ら18)は大腿骨骨幹端部上端の中点と坐骨外縁との間の距離を指標として用いており,松永ら5)も独自の基準を定めている.われわれは以上の判定法を参考にして,①CE角が0度以下であること,②頸部上端幅の2/3以上がParkin線より外側にあること,および③涙痕内縁と頸部上端内側との距離が健側に比べ3mm以上であることの3つの基準を作り(図1),両股関節伸展位X線像でこれらの内1つでも存在すれば外側偏位ありと判定した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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