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論述
生体力学的にみた大腿骨頭無腐性壊死の進展について
著者: 上尾豊二1 山室隆夫1 中村孝志1 奥村秀雄1 清水彰1 堤定美2
所属機関: 1京都大学医学部整形外科 2京都大学医学部医用高分子研究センター
ページ範囲:P.686 - P.692
文献購入ページに移動大腿骨頭無腐性壊死のレントゲン像を仔細に観察すると興味ある事象が認められる.それは,骨頭の壊死巣はこの部分への血流が断たれたための阻血性壊死であると広く認識されているにもかかわらず,そのレントゲン上で示される壊死範囲は,通常の血流支配領域に一致していないということである.図1はSLEに合併した大腿骨頭壊死であり,ステロイド投与も受けている.最初に股関節に症状が出てから約1年後に,レントゲン上の変化として骨頭頸部に帯状硬化像が出ている.ついで最終的にこの硬化像より中枢部は広範に壊死巣となっている,ところが,骨頭内の血管分布4,7)をみると,血管の閉塞がどれかの血管分枝に生じたものとすれば,閉塞範囲は明らかに壊死範囲に一致しない(図2).
血管の中枢側にて,より広範な閉塞を生じたとも考えることはできるが,病理学的にみて壊死領域外での血管閉塞は観察されていない3).
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