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論述
膝蓋軟骨軟化症における関節鏡像とレ線像との相関関係について
著者: 森雄二郎1 黒木良克1 山本龍二1 日野ひかる1 藤下彰彦1 奥茂宏行1
所属機関: 1昭和大学藤が丘病院整形外科
ページ範囲:P.709 - P.716
文献購入ページに移動近年本邦では若年者の膝痛の中で,従来少ないとされていた膝蓋軟骨軟化症が増加の傾向にあるが,この原因については議論されながらも推論の域を出ない.従って欧米ではすでに1960年から1970年代に多数の報告が認められたのに比較して,本邦での報告は今日まで非常に少なかった.本邦での膝蓋軟骨軟化症における概念は,小林の一連の報告1〜4)が基盤となり確立されつつあるが,欧米文献を含めても今なおその原因および治療について不明な点が多い疾患といえよう.
我々は従来報告されているOuterbridge5),Insall6),Morscher7)および小林らの報告をもとに,臨床上本症と診断した患者に対し関節鏡検査を行い,我々の示す膝蓋軟骨の病変8)を有した場合にこれを膝蓋軟骨軟化症(Chondropathia patellae)と診断している.我々の経験では臨床所見より膝蓋軟骨病変の程度を推測することは難しく,軟骨破壊の程度と臨床症状の強さとの間には相関関係が認められなかった9).しかしレ線所見として得られるpatello-femoral (p-f) congruenceと膝蓋軟骨損傷の程度とは極めて良好な相関関係にあることが今回の検索で判明したので,本症診断におけるレ線像の有用性について報告する.
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