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高濃縮フィブリノーゲンを使用した神経接合に関する実験的研究
著者: 光嶋勲1 松永若利1 波利井清紀1
所属機関: 1東京大学医学部形成外科学教室
ページ範囲:P.735 - P.741
文献購入ページに移動神経損傷に対する外科的修復法としては,神経縫合術,神経接合術(sutureless nerve union)などがある10)が,最近のマイクロサージャリーの進歩によりそれらの手技も,よりatraumaticな方向へと変化しつつある.縫合法を用いない神経接合法は,atraumaticな点において最も理想的手技であり2),従来多くの外科医がその臨床的使用に努力してきた.歴史的には,1940年Young等によりplasma clotを用いた実験的神経接合が行われ,Seddon等がこれを臨床的に使用した7).その後1958年まで多くの外科医により追試が行われ,炎症反応による接合部離開の危険性が指摘された10).
その他の神経接合法としては,フィブリン膜で包む方法8),surgical tapeを用いる法3),組織接着剤であるmethyl-2-cyanoacrylateを用いる法5),凍結乾燥動脈を使用する法11),凍結乾燥静脈を使用する法4)などが報告された.また,非生物学的な物質としては,タンタルムチューブ12),シリコンチューブなど種々のものが報告されている.しかし,これらいずれの物質も接着力の弱さ,異物反応などのために臨床的に応用されるまでに至っていない.
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