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手術手技シリーズ 脊椎の手術・18
頸椎椎管拡大術(服部法)の手技
著者: 河合伸也1
所属機関: 1山口大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.85 - P.93
文献購入ページに移動頸椎部の脊髄症に対して後方進入法による頸髄の除圧手術は古くから行われてきた.しかしながら術後成績が必ずしも優れず,前方進入法による除圧・固定が優先して考えられてきた.近年,手術器具の進歩によって後方進入法による除圧手術に際して,極めて愛護的な操作を行うことができるようになり,それに伴って術後成績も飛躍的に向上し,後方進入法による除圧手術の有用性が再認識されてきた.そのきっかけは桐田の広汎同時除圧椎弓切除術である.現在では後方進入法も前方進入法と同様の成績を得ることができ,それぞれの適応に従ってその両者をうまく使い分けていくことが最善の方法である.ただ椎弓切除による後方除圧手術では頸椎の後方支持組織をとり除くこととなり,頸椎の支持性の減弱を生ずることは否めないし,とくに若い年代に対する椎弓切除では術後の頸椎の変形はかなりの頻度で出現する.
1971年服部は十分な後方除圧と共に構築的再建を同時に行い,術後の頸椎の支持性の減弱に対する危惧を少なくした"頸椎椎管拡大術"を考案した.その後山口大学整形外科ではこれまでに100余例の症例に頸椎椎管拡大術を施行し,その追跡調査を重ねて,優れた術後成績と頸椎の支持性の確保が得られている.
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