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論述
アルミナ・セラミックスを用いた人工関節
著者: 大西啓靖1
所属機関: 1国立大阪南病院整形外科・人工関節クリニック
ページ範囲:P.1078 - P.1092
文献購入ページに移動最近,物理的,化学的に極めて安定で,生体適合性に優れたアルミナ・セラミックス(Al2O3)が注目され,現在は股関節において,アルミナ・ソケット対アルミナ・骨頭の組合せのものとUHMWPE(Ultra-high molecular weight polyethylene超高分子量ポリエチレン)・ソケット対アルミナ・骨頭の組合せのものが用いられている.
われわれは金属よりもアルミナに対するUHMWPEの耐摩性が優れるという利点を摩耗試験により確認し,アルミナ・骨頭対UHMWPE・ソケットの組合せの人工股関節を使用している.膝関節についてもシミュレーター試験により同様の結果を得ている.また,金属表面の粗さは凹凸様々であるが,アルミナの表面の粗さは凹んだ粗さであり耐摩耗性ばかりでなく,潤滑性にも優れている.しかし,アルミナに強度の問題があり,ステムには今も金属を用いている.一方,われわれは足関節に対して骨セメントを使用せず,骨との結合部をアルミナ,摺動部をアルミナ対UHMWPEの組合せの人工足関節を開発し,10数関節に使用し,最長5年を経過している.同様に肘関節にも約20関節行い,問題点を検討し,これらアルミナの特性,実験結果,臨床経験より,骨セメントを使用しないアルミナ人工膝関節を開発し,1981年11月より,約200関節に臨床応用してきた.
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